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バングラデシュは、南アジアの中でも急成長を続ける注目の新興国です。

経済成長率は6%台を維持し、製造業・インフラ開発・IT分野を中心に外資の進出も加速しています。

そんなバングラデシュ市場への投資を検討する個人投資家や法人にとって、「現地での銀行口座・証券口座の開設」と「個別株投資の実現」は大きなステップとなります。

しかし、実際には「外国人でも口座を開設できるのか?」「どんな書類が必要?」「証券口座から本当に個別株が買えるのか?」といった疑問や不安がつきまといます。

本記事では、2025年時点の最新情報をもとに、バングラデシュで銀行・証券口座を開設し、ダッカ証券取引所(DSE)に上場する個別株に投資するための具体的な手順、必要書類、注意点を分かりやすく解説します。

これからフロンティア市場に挑戦したい方に向けた実践的なガイドです。

なぜ今、バングラデシュ個別株への投資が注目されているのか?

世界中の投資家が「次の成長市場」を探し続ける中、近年注目を集めているのが南アジアのバングラデシュです。

労働人口の若さ、製造業の急成長、安定した経済指標などを背景に、バングラデシュは「ポスト・ベトナム」とも呼ばれる存在になっています。

なぜ今バングラデシュの個別株が注目するべきなのか、その経済的背景と株式市場の現状を詳しく解説していきます。

バングラデシュ経済の成長性と新興市場としての魅力

バングラデシュは近年、目覚ましい経済成長を遂げており、2024年時点での実質GDP成長率は6〜7%台を維持しています。

人口は約1億7,000万人と、世界でも有数の労働力を抱える国であり、若年層が多く将来的な消費市場としても大きな潜在力を秘めています。

さらに、衣料品の輸出産業は世界第2位を誇り、多くの外資系アパレル企業がバングラデシュを生産拠点に選んでいます。

その他にも、ITアウトソーシング、再生可能エネルギー、金融インフラ整備などが国家戦略として推進されており、成長産業が多岐にわたる点も投資家から評価されています。

国際機関(IMFやアジア開発銀行)も、今後10年間にわたってバングラデシュがアジアの主要新興市場として成長し続けると予測しています。

ダッカ証券取引所(DSE)の動向と主要セクター

バングラデシュの株式市場は主に ダッカ証券取引所(DSE) に集約されており、上場企業数は300社以上。時価総額は約600億ドル(2024年時点)と、東南アジア諸国には劣るものの、今後の拡大余地が大きい市場です。

DSEでは、以下のようなセクターに注目が集まっています:

  • 銀行・金融:現地大手銀行(BRAC Bank、Islami Bankなど)が安定的な成長を続けており、高配当利回りも魅力。
  • 製薬業界:医薬品大手(Beximco Pharma、Square Pharmaceuticals)は国内需要の増加とともに輸出も強化。
  • 衣料・繊維:RMG(Ready Made Garments)産業を支える企業が多数上場し、グローバル企業との連携も進行中。
  • 通信・IT:グラミンフォン(Grameenphone)などのテレコム企業は高い収益性を持つ一方で、デジタル金融やEコマース事業も拡大中。

また、政府は外国人投資家に対する規制緩和やオンライン取引制度の整備にも取り組んでおり、海外からのアクセス性は年々向上しています。

バングラデシュで銀行口座を開設するには?

バングラデシュ株式市場への投資を本格的に始めるには、まず現地の銀行口座を開設することが必要不可欠です。

証券口座を開設するための前提条件として、銀行口座を通じた資金移動の仕組みが求められるからです。

とはいえ、「外国人でも口座を作れるのか?」「現地に行く必要はあるのか?」「どの銀行を選ぶべきか?」など、具体的な手続きや条件についての情報は限られています。

本項目では、バングラデシュで銀行口座を開設するために必要な条件、流れ、必要書類、主要銀行の特徴などを解説します。

外国人でも銀行口座を開設できる?条件と必要書類

結論から言えば、外国人でもバングラデシュで銀行口座を開設することは可能です。

特に近年では、外国人投資家やビジネス関係者の増加に伴い、複数の主要銀行が非居住者向け口座(Non-resident Account)の開設をサポートする体制を整えています。

ただし、口座開設には所定の条件を満たすことと、必要な書類を正確に提出することが求められます。

銀行口座開設の主な条件

  • 資金の出所を証明できること(給与、事業収入など)
  • 年齢要件:18歳以上の個人であること
  • 本人確認ができる書類を提出できること
  • バングラデシュ国外の住所を証明できること

銀行口座開設に必要な書類一覧(2025年最新版)

以下は、外国人がバングラデシュで銀行口座を開設する際に必要となる代表的な書類です:

  1. 申請者のパスポート用証明写真(5枚)
  2. 申請者のパスポートのコピー
  3. 受取人(Nominee)のパスポート用証明写真(5枚)
  4. 受取人(Nominee)のパスポートのコピー
     ※各1枚ずつスキャンしてオンライン送信可能。合計10枚の証明写真が必要です。
  5. バングラデシュ国外の現住所を証明する書類(1通)
     例:公共料金の請求書、電話料金の明細、運転免許証など
     ・英語以外の場合は翻訳証明書が必要です。
  6. 資金証明関連(以下のいずれか1つ)
     - 直近3か月分の銀行取引明細書(英文または翻訳付き)
     - 給与証明書および給与明細
     - 勤務先からの入社証明書
  7. 銀行所定の口座開設申請書類への記入・提出

これらの書類を正しく揃えることで、バングラデシュの大手銀行(例:BRAC Bank, Sonali Bank, Islami Bankなど)での口座開設が可能になります。

なお、銀行によって書類形式や必要な翻訳条件が異なる場合もあるため、開設を代行する業者や銀行担当者と事前に確認することが重要です。

銀行選びのポイント(DBBL、BRAC、HSBCなど)

バングラデシュで銀行口座を開設する際には、「どの銀行を選ぶか」が非常に重要なポイントとなります。

1. Dutch-Bangla Bank Limited(DBBL)

  • 国内初の電子バンキング重視型銀行。ATM網が国内最大。
  • スマホアプリやインターネットバンキングの使いやすさに定評あり。
  • 非居住者向け口座(NRB口座)も対応可。
  • 外貨口座(USDなど)も開設可能。

おすすめ対象:日常利用・デジタル対応を重視したい外国人や投資家

2. BRAC Bank Limited

  • BRAC財団系の民間銀行。中小企業や外国人向けサービスが充実。
  • 英語対応のオンラインバンキングあり。
  • オフィス支店も清潔で、外国人対応に慣れている。
  • 外貨建て口座(USD/EUR)も可能。

おすすめ対象:外国人投資家、スタートアップ支援や法人との取引を重視する層

3. HSBC Bangladesh(外資系)

  • 世界展開しているHSBCの現地法人。国際取引に強い。
  • 英語対応は完全で、外国人への信用も高い。
  • 国際送金、外貨口座(FC Account)に特化。
  • ただし最低預金額などハードルは高め。

おすすめ対象:国際ビジネスを行う法人や高資産層の投資家

オンラインバンキングや外貨口座の可否

バングラデシュでも近年はデジタルバンキングの普及が進んでおり、多くの主要銀行がオンラインバンキングやモバイルアプリを提供しています。

  • DBBL:専用モバイルアプリ「Rocket」が便利。送金・残高確認・投資連携も可能。
  • BRAC Bank:eBiz、BRAC Bank Appなど複数のデジタルチャネルあり。外国人でも利用可。
  • HSBC:グローバル基準のオンラインバンキングに対応。セキュリティも高水準。

外貨口座の開設可否(外国人)

  • DBBL/BRAC/HSBC すべてで、**外貨建て口座(USD、EUR、GBP)**の開設が可能。
  • 用途例:外国からの資金送金、証券口座との連携、個人・法人投資資金の管理に有効。
  • 注意点:口座の種類(Resident/Non-Resident)によって手続きや提出書類が異なります。

投資やビジネス目的であれば、外貨口座+オンライン対応+外国人への理解が揃った銀行を選ぶことが重要です。

証券口座を開設してバングラデシュの個別株に投資する方法

バングラデシュの成長著しい企業に直接投資したいなら、現地の証券口座を開設することが不可欠です。

バングラデシュでの証券口座開設から個別株投資を始めるまでの具体的なステップを、最新情報に基づいてわかりやすく解説します。

ダッカ証券取引所(DSE)に上場している主な銘柄

銀行・金融セクター

バングラデシュの成長を支える中心的セクターであり、安定配当を出す企業が多く、外国人にもアクセスしやすい分野です。

  • BRAC Bank Limited
     中小企業支援とテクノロジー活用に強み。国際的な投資家からの評価も高い。
  • Eastern Bank Limited(EBL)
     洗練されたコーポレートバンキングと顧客対応力で、業界内のリーダー格。

製薬・ヘルスケアセクター

国内外の需要増加を背景に、輸出力もある分野です。

  • Square Pharmaceuticals Ltd.
     国内最大手製薬企業。アフリカ・アジア諸国への輸出にも力を入れており、国際展開が進む。
  • Beximco Pharmaceuticals Ltd.
     ジェネリック医薬品の製造・輸出で国際的な評価が高く、ロンドン証券取引所にも上場。

アパレル・繊維セクター

バングラデシュの基幹産業であり、世界第2位の衣料品輸出国として多くの関連企業が上場しています。

  • Envoy Textiles Ltd.
     高品質デニムの製造で有名な企業。サステナブル素材への取り組みでも注目されている。
  • DBL Group(非公開会社だが関連企業が上場)
     大手グローバルアパレルブランドへのOEM供給企業。

通信・ITセクター

急成長中のデジタル経済を支える存在として、将来性が期待されています。

  • Grameenphone Ltd.
     ノルウェーのTelenor傘下の大手通信キャリア。配当利回りが高く、外国人投資家の定番銘柄。
  • Robi Axiata Limited
     マレーシアのAxiataグループが出資する第2位の通信会社。

外国人が開設できる証券会社とは?(IDLC、LankaBanglaなど)

バングラデシュで個別株に投資するには、ダッカ証券取引所(DSE)に加盟する証券会社で証券口座を開設する必要があります

外国人が口座を開設できる証券会社は限られており、英語対応が可能で、外国人投資家向けのサポート体制が整った証券会社を選ぶことがポイントです。

以下に、外国人にも実績のある代表的な証券会社をご紹介します。

1. IDLC Securities Limited

  • 概要:大手金融グループ「IDLC Finance Limited」の証券部門で、機関投資家・個人投資家向けに幅広い株式売買サービスを提供。
  • 外国人対応:英語対応が整っており、外国人投資家の口座開設実績も多数。
  • 特徴
    • オンライン取引プラットフォームあり(IDLC EZ)。
    • 定期的に市場分析レポートを英語で提供。
    • 外貨口座との連携がスムーズ。
  • URLwww.idlc.com

2. LankaBangla Securities Limited

  • 概要:バングラデシュ最大級の証券会社で、国内外の機関投資家との取引が豊富。
  • 外国人対応:外国人向けに英語での口座開設ガイドやリモート手続き支援を実施。
  • 特徴
    • スマートフォン向け取引アプリ「TraderX」あり。
    • 外国人投資家専用のカスタマーサポートチームが存在。
    • レポート・アナリティクスが豊富で、銘柄分析がしやすい。
  • URLwww.lbsbd.com

3. BRAC EPL Stock Brokerage Limited

  • 概要:BRAC Bankグループ傘下の証券会社で、BRAC財団の信頼性のもとで外国人対応にも力を入れている。
  • 特徴
    • BRAC Bankとの連携により、口座開設と資金移動が円滑。
    • 外国人向けの投資ガイドやFAQが充実。
  • URLwww.bracepl.com

証券口座開設に必要な手続きと期間・費用

外国人がこの証券口座を開設する場合、いくつかのステップと重要な書類の準備が求められます。

以下では、具体的な手続きの流れ、必要書類、所要期間、費用について解説します。

バングラデシュ国内の銀行口座(外貨建てFC口座)を開設
証券口座の資金送金元となるため、最初に開設が必要です。

証券会社の選定と事前相談(IDLC、LankaBanglaなど)
外国人向けサービスの有無、サポート体制、英語対応の確認が重要です。

必要書類の提出(原本・スキャン提出など)
パスポート、住所証明、収入証明、銀行口座情報、Nominee情報など。

BO口座(証券口座)の開設申請書の記入・提出
証券会社が用意する専用フォーマットに記入し、原則として署名が必要です。

CDBL(Central Depository Bangladesh Limited)への登録
証券会社が投資家情報をCDBLに登録し、アカウント番号(BO ID)が発行されます。

証券口座の有効化と取引開始通知を受領
これにより、バングラデシュ証券市場での株式売買が可能になります。

【必要書類の一例】

  • パスポートのコピー(カラー)
  • パスポートサイズ証明写真(申請者・Nominee)
  • バングラデシュ国外の住所を証明する書類(英語または翻訳付き)
  • 3か月分の銀行取引明細 or 給与証明書
  • 外貨建て銀行口座の情報
  • 証券会社指定の申請書類一式(署名入り)

バングラデシュ口座開設を代行業者に依頼する前に確認すべきこと

バングラデシュでの銀行口座や証券口座の開設は、外国人にとっては言語・制度・手続きの壁があるため、代行業者や現地コンサルタントに依頼するケースが一般的です。

特に、現地に渡航せずにオンラインで手続きを進めたい場合、信頼できる代行業者の存在は大きな安心材料となります。

しかしその一方で、「業者の信頼性は?」「費用の内訳は明確か?」「本当に現地に行かなくていいのか?」など、依頼前に確認すべき重要なポイントを見落とすと、後々トラブルになるリスクもあります。

口座開設の代行を依頼する前にチェックすべき具体的な項目と注意点を、実務的な視点からわかりやすく解説します。

失敗しない業者選びと、安全な投資の第一歩を踏み出すために、ぜひ事前に確認しておきましょう。

渡航の必要はある?フルリモート可能?

バングラデシュで銀行口座や証券口座を開設する際、外国人投資家にとって最も気になるのが「現地に渡航する必要があるのかどうか」という点です。

結論から言うと、渡航せずに“フルリモート”で口座を開設することは、条件次第で可能ですが、いくつかの注意点があります。

必要書類一覧と注意点

多くの商業銀行(例:BRAC Bank、DBBL、HSBCバングラデシュ)は、外国人非居住者向けに外貨口座(FC口座)やNRB口座を提供しており、事前に必要書類を揃えて提出すれば、リモートでの開設も対応可能です。

ただし、

サイン入りのオリジナル書類を国際郵送で送付する必要がある場合が多く、銀行によっては最終確認をZoom面談やビデオ通話で行うケースもあります。

現地に渡航せずとも可能なケースは増えていますが、完全オンライン対応かどうかは銀行によって異なるため、事前の確認が必須です。

証券口座(BO口座)についても、IDLCやLankaBanglaなど外国人対応に慣れている証券会社であれば、リモートでの開設が可能です。

  • 書類のスキャン提出+国際郵送による原本提出
  • 署名証明(署名サンプル)やパスポート、現住所証明書類の提出
  • 指定銀行口座との連携確認

などのプロセスを経ることで、現地に行かずにBOアカウントが取得可能です。

トラブルを防ぐためのチェックリスト

書類の不備や記入ミスがあると、やり直しに時間がかかることがあります。

一部の銀行・証券会社では「現地での本人確認を原則」としている場合もあり、代行業者を通すことで初めてリモート対応が可能になるケースもあります。

一部では「委任状(POA)」を提出することで、現地スタッフが代理申請できる仕組みが採用されています。

バングラデシュ株式投資のリスクと税金についても知っておこう

成長著しい新興国として注目されているバングラデシュの株式市場ですが、投資先として魅力がある一方で、当然ながらリスクや税制面での注意点も存在します。

売却益や配当金に対する課税制度、資金の送金ルールなど、税務面の条件を正しく把握しておかないと、思わぬコストやトラブルにつながる可能性もあります。

バングラデシュ株式投資における主なリスク要因と、外国人投資家が知っておくべき税金のルールについて、実務ベースでわかりやすく解説します。

リターンだけでなく、リスクとルールを正しく理解することで、より安全な投資が可能になります。

株式売買のリスク・為替リスク

バングラデシュの株式市場は高い成長性と将来性を秘めていますが、その一方で投資先としての固有のリスクも存在します。

特に価格変動リスク(ボラティリティ)と為替リスクは、外国人投資家にとって最も重要なリスク要因となります。

  • 政府の規制強化や通貨政策の変化
  • 突発的な企業不祥事や財務開示の遅延
  • 世界経済や商品相場の影響(特に衣料・エネルギー関連)

などの要因で、短期間で株価が急変動するケースも珍しくありません。

外国人投資家がバングラデシュ株に投資する際、外貨(通常はUSDやEUR)をタカ(BDT)に両替して投資を行うため、為替変動による損益が発生します。

これが「為替リスク」です。

特にバングラデシュは輸入依存型経済であり、エネルギーや原材料価格の高騰時には通貨が不安定になる傾向があり、通貨安(タカ安)リスクが存在します。

キャピタルゲイン課税と源泉徴収の有無

バングラデシュ株式市場への投資では、株式の売却益(キャピタルゲイン)や配当金に対する税金が課税されます。

特に外国人投資家にとっては、利益がどのように課税されるか、また自動的に源泉徴収されるかを理解しておくことが、正確な投資判断と資金管理のうえで極めて重要です。

バングラデシュでは、上場株式の売却益に対して課税が行われます。課税率は以下の通りです:

  • 外国人投資家(非居住者):原則として10%のキャピタルゲイン課税
  • 居住者(現地法人など):通常15%以上の課税(法人税率に準ずる)

なお、キャピタルゲイン課税は自己申告ベースとなっており、売却益を証券口座で管理・記録し、確定申告を通じて納税する形式です。

ただし、今後の制度変更により自動徴収(Withholding Tax)が導入される可能性もありますので、証券会社や税務アドバイザーからの最新情報の確認が必要です。

ングラデシュでは、配当金に対して源泉徴収が適用されます。税率は以下の通りです:

  • 配当金の源泉徴収税
    外国人投資家に対して15%が自動的に源泉徴収されます(税引後で配当が支払われる)。
    これにより、配当収益に対する納税手続きは基本的に不要です。
  • 利息収入(債券など)にも源泉徴収がかかる場合あり

資金の引き出しや送金制限について

まとめ:2025年、バングラデシュ株に投資するための最短ステップ

口座開設から投資までの流れ

外国人でも始められる安全な方法とは?

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